時々目にするガルクラは3Dじゃなければもっと良かったという話。
私自身は3Dで良かった。というよりも3Dだからこそ良かったと思っており、その理由についても語っていきます。まずは比較からです。
2Dのメリットとデメリット
・メリットの話
OPの映像、可愛いですよね。もちろん3Dでも可愛いんですけどね。
1話目を見たときに、3Dアニメか~。あれ?OPは2Dなの?って思ったのを覚えています。
ということで1つめのメリットはこの可愛さ、要は見慣れているからこその違和感のなさですね。
3Dだと慣れていない分違和感がありますが、2Dならそういった心配はありません。
物語にすぐに没頭できるのは視聴者側には最大のメリットでしょう。
2つ目は1話目を見てもらうためのハードルの低さですね。
ガルクラは原作なし、主要キャラ声優経験なし、3Dとかいう0話切り筆頭アニメです。
この3要素の中で一番影響が大きそうなのは3Dの部分でしょう。
これが2Dになればそれだけである程度0話切りを抑えられます。
1話見てもらうのってもの凄く大切です。大体のアニメが2話の時点で視聴者が半分以下とかになります。最後まで見る割合なんてそれこそごく僅かです。
とりあえず見てみようと思ってもらえるのは製作者側の最大のメリットだと思います。
・デメリットの話
今までも数々のアニメでライブシーンってやりました。で、ライブシーンになるとどうなるかというと3Dになることが多いんです。
3Dになるとどうなるか、視聴者からするとちょっと萎えます。
分かっているんです。ライブシーンとか作るの大変だし、3Dの方が表現としては向いてるし、仕方ないよなって。でも頭と気持ちは別物です。
ではこれをどう回避するか?答えは簡単、すべて手書きにすれば良いわけです。
しかし、言うのは簡単ですがとても大変です。当然コストも高くなります。売れるか分からないのにそこにお金をかけるのは難しいところでしょう。
なので製作者側からすると2Dは、特に見せ場となるライブシーンでかかるコストが最大のデメリットになるでしょう。ヒットすれば回収出来ますが、ガルクラは今までにない新しい取り組み。
作画が良ければ成功するわけでもないので、そこに無尽蔵にお金をかけるのはリスクが高いと考えてもおかしくありません。
3Dのメリットとデメリット
・メリットの話
・3Dは低コスト
よく言われる3Dのメリットは制作コストの低さです。
あまりのクオリティの低さで有名になったエクスアームも3Dアニメでした。一度作ってしまえばキャラを使いまわしたり出来る分、コストが安くなるってことなんでしょう。
しかしガルクラに関してはこれが当てはまるという感じはしません。レベルの低い3Dとかいう声も聞くのですが、いやいや高レベルでしょう。めっちゃ滑らかに動いてるよ。
ガルクラはフルアニメーション(1秒に24枚の絵を再生)で、リミテッドアニメーション(1秒に8枚)の単純に3倍労力がかかってます。通りでヌルヌル動くわけだ。
3Dのアニメも人よりは見てきたと思いますが、その中でも間違いなくトップレベルです。
他の3Dアニメと比べて表情の豊かさが段違い。こんなにもコロコロ表情が変わるのかと1話見て感動しました。
公式のメイキング映像が上がっていましてそれがまた凄いんです。
牛丼が出てくるのですが、お米の部分は見えないのに作りこんでいて細部へのこだわりを感じました。
こんなのコストカットのために3Dで作ってるなら絶対にしない行為ですよ。
それと服を毎回のように替えていることからもコストカットを目的としていないことが分かります。
2Dのアニメ、というかアニメって基本的には着ている服は同じですからね。学園物は基本制服、異世界ものだって日にち経っても同じ服しか着てませんよ。
制服ばっかり着てるすばるちゃんでも他のアニメよりはバリエーションあると思います。こんなにも色んなバリエーションが見られるのはかなり珍しいです。
ということで、コストカットのメリットはあまりないと思います。今後2期とか映画とか作る場合はモデルが既にある分このメリットがよりいきてくるとは思いますが、1期時点での恩恵は薄そうです。
・ライブ映像との相性の良さ
3Dはコスト面以外にも色々なメリットがあります。それが立体感と、様々な視点から映像を作れる点です。この2つのメリットはライブシーンと非常にマッチしています。
ガルクラを制作した東映さんは今あるアニメ会社の中で一番古い超老舗です。そんな東映さんの売りは何かというと3D技術の高さです。プリキュア、ドラゴンボール、少し前に話題になった映画SLAM DUNKなどでもこの技術は存分に発揮されています。
手書きの方はどうなのかというと。ガルクラ見てる感じ、作画レベルが高い、とは思わないですね。正直他の制作会社の方がレベルは高いでしょう。
なので手書きですればそれはそれで盛り上がるとは思うのですが、3D技術を存分に活かしてライブシーンを作った方が長所を生かせる分良さそうです。ガルクラのライブシーンとかどんだけ動くんだよってくらいに気合い入れて作ってますからね。
ということで、手書きよりも、得意な3Dでライブシーンをカッコよく作れることが最大のメリットだったと思います。
・デメリット
これは2Dのメリットの逆、0話切りの確立が上がることですね。ガルクラはオリジナルなので、原作付きと比べると固定ファンが少ないです。このデメリットは無視できないですね。
結局どっちが良かったの?
視聴者を増やすという点では手書きの方が良かったと思います。3Dに抵抗のある人でも最後まで見れたかもしれません。なのでより多くの人に届けたい、という点では2Dの方が良かったと言えるかもしれません。
それなら3Dがダメだったのかというとそうは思いません。
手書きでは11話のライブのような、あそこまでカッコいい映像は作れなかったでしょう。3Dを使い続けていたからこそ、あの2D回想が映えるわけです。
そして3Dだからこそ「空白とカタルシス」をフルで流すことが出来たのでしょう。手書きでフルとか、知らないだけもしれませんが見たことありません。出来ても予算のかなりある映画とかじゃないですかね。それもダイダスのライブをやったあとなんですからなおさらです。
ヒットが確約されているならともかく、オリジナル作品でそんなことまぁ無理でしょう。
私は11話のライブを見て初めて、「これアニメ史に残るだろ」と思いました。
今まで20年以上アニメ見てきましたがこんなこと思ったことありません。興奮しすぎて寝れずに何度も見ましたし、今でも毎日見てるくらいには最高のライブ映像だったと思ってます。
あの2Dと3Dとの融合は感動以外の何物でもありません。今後出てくるバンドアニメはこの11話と比較されるでしょうし、確実に意識することになります。
2Dと3Dの融合、確実に真似てくるでしょうし、それをされるくらい、そうしないと追いつけないくらい素晴らしい作品だったと私は思っています。
なので、より売れそうだというメリットがあるとしてもあの11話のライブ映像を切ってまで手書きにするメリットを私は感じません。
逃げの3Dではなく、攻めの3Dだからこそ、ここまでハマったわけです。2Dの方が視聴者は増えた可能性は否定しません。
しかし、爪痕をより深く残せたのは3Dだからこそだと私は思います。
そしてこういう挑戦が成功したことによってさらに3Dに力を入れられるのではないでしょうか。
手書きのレベルはここ数年で限界近くまで上がってる気がしますが、3Dはまだまだ発展の余地が残っていそうです。更に磨きのかかった技術を駆使したガルクラをまた見たいですね。
私はやっぱりガルクラは3Dで良かったと思います。
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